昔、付き合っていた彼が、私と別れ、別の女性と結婚した。
私と奥さんになる人。彼は、2人の女性と上手に付き合っていたの。
でも、ある日、彼にとって“上手くない出来事”が起きてしまった。
それは、もう一人の彼女の「妊娠」。
彼は私に別れを告げ、
新しい命を宿した彼女と共に人生を歩む決意をした―
悔しくて、切なくて、悲しい涙枯れないことを知った私。
でも、どうあがこうと、この現実を変えることができず、
また、決して変えてはならないこともわかっていた。
最初は、メールや電話で連絡を取っていたこともあった。
時に、「やっぱりお前がいい」っといった、
彼の無責任な言葉にほだされた時もあった。
そして半年がすぎ、とうとう、彼の結婚式の日。
永遠に、私の手には戻ってこなくなる、決定的な日だ。
前の日、私は、彼の実家に結婚祝の花を贈った。
もちろん、祝福しきれていない心で届けたものだ。
「わすれな草」。
花言葉:“わたしを忘れないで―”
小さくて可憐な花なのに、とても切ない意をもっている花。
ちょっと風が吹いたらとんでしまいそうな儚さな姿でありながらも、
見るものの心には「深く根付く…」。
“わたしを忘れないで―”。
もちろん、そんな言葉は書かかなかったけど、
結婚式の朝。こんなメールが届いていた。
「忘れられるはずがない。自分の選択は間違っていなかったが、俺はこれからお前を忘れきることができないまま、苦しみの時間を過ごしていくんだ」。
「わすれな草:ワタシを忘れないで―」
とても、悲しい影を持つ名前だけれど、
私はこの花と言葉が大好きだ。
なぜなら、花とともに本心をぶつけたことで、
私は彼の呪縛から解き放たれることができたから。
泣いて、泣いて、泣き続けた日々に、
ようやくエンドラインを引くことができたきっかけは、
「わすれな草」だった。
直接向かいあってしまうと、感情があふれだして、
言いたくないことも、言う必要のない言葉も、たくさん出てしまう。
でも、大切な想いは、全てわすれな草が届けてくれた。
だからこそ、私は前向きに生き、
そして、例の彼とは比べようもないぐらい
素適で愛を尽くせる男性と結ばれることができたのだ。
「わすれな草:ワタシを忘れないで―」
好きで、大切にしている花(言葉)ではあるものの、
できることなら二度とは使いたくないのが本音。
でも、私はペットのお墓参りだけには「わすれな草」を使っている。
楽しかった日々を忘れないで、
私も、ずっと忘れないから―